マイホームの購入は、人生の一大イベントです。今回は、特に中古一戸建てを購入する際に、事前に知っておくべき手続きの流れや注意点について、ファイナンシャルプランナーの視点から解説します。
「一戸建て購入のポイント」については、こちらのブログで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
1. 新築にこだわるか、中古もOKか:方針の決定
一戸建てを手に入れる方法は、大きく分けて以下の2つがあります。
- 土地を購入+新築:土地を購入し、ハウスメーカーや工務店に設計と建築を依頼する方法。
- 中古住宅を購入+リフォーム:中古住宅を購入し、必要に応じてリフォームする方法。
それぞれの、メリットとデメリットは、次の通りです。
メリットとデメリットを理解して、ご自身の方針を明確にしましょう
土地購入+新築
メリット…理想の間取りや最新の設備を備えた家が手に入る
デメリット…費用が高くなる傾向がある。
「建築条件付き」の場合、建築会社が指定される点に注意
中古住宅+リフォーム
メリット…予算を抑えやすい。好立地の物件が見つかりやすい
デメリット…建物構造や設備の老朽化のチェックが必要
【我が家の選択】
実は我が家は「中古住宅を購入+リフォーム」を選びました。気に入った住宅を見つけ、キッチンや浴室など気になる点をリフォームすることで、新築で建設するよりも割安で上質の住まいを手に入れることができ、満足しています。
このブログでは、中古住宅を購入する場合として「物件探し~契約~引き渡し~入居」までの流れを解説します。
2. 不動産購入の窓口を決める
中古住宅を購入する場合、不動産会社が仲介会社として売主と買主の間に入るのが一般的です。
Webサイトなどを使って自分で物件探しをすることも可能ですが、おすすめの方法は一つの不動産会社に窓口を絞って物件探しをすることです。物件探しのスタートは、「いい不動産会社、いい担当者探し」と言っても過言ではありません。
- 探す場所が決まっている場合: 地元の情報に強い不動産会社
- 探す場所が漠然としている場合: 大手の不動産会社
など、状況に応じて依頼先を決めましょう。
3. 不動産会社の役割と物件見学
仲介会社はすべての情報を持っています
不動産会社は、あなたの条件に合う物件を紹介してくれます。日本の不動産流通においては「レインズ(REINS)不動産流通標準情報システム」に売物件情報が登録されているため、基本的には、どの不動産会社にお願いしても同様の情報をもらえます。
仲介会社は、売主と買主の間に入り、値下げ交渉や引き渡しのスケジュール調整など、取引が円滑に進むように全面的にサポートしてくれるため、担当者が信頼できる人かどうかは重要です。
納得いくまで物件を見学しましょう
候補の物件が決まったら、いよいよ物件見学です。ぜひ見てみたい物件のほか、その近くの物件も参考にピックアップしてもらい、見学に行きましょう。
物件が既に空き家になっている場合もあれば、売主が居住している場合もあります。
【我が家の経験】
我が家が小田原の家を購入した時は、20軒以上の物件を見学しました。最終的に自分たちの意見と担当者の意見が一致して、安心して今の家に決めることができました。担当者の方には本当にお世話になりました。
4. いよいよ購入申し込み
購入希望の物件が決まりましたら、購入申込書(または買付証明書など名称は不動産会社により異なります)を提出し、10万円程度の申込金を支払います。
ここから、不動産会社を通じて、価格交渉をはじめ、契約の内容を詰めていく交渉が始まります。
交渉の対象となる主な内容は以下の通りです。
- 売買代金、手付金の希望額
- 住宅ローンを利用するか否か
- 住宅ローンを利用する場合、契約書に住宅ローン特約(停止条件)をつけるか
- 契約~引き渡しのスケジュール
不動産会社は、これらの交渉と並行して、物件に法的に問題がないかの調査(重要事項の説明の準備)も進めてくれます。
5. 知っておきたい仲介手数料の計算
仲介手数料は、成功報酬です。物件探しを依頼した段階では発生せず、売買契約に至った時に支払います。
不動産会社には、物件探し~契約~引き渡し~その後の窓口等、広範囲の情報と専門的な知識をもとにサポートしてもらうため、気持ちよく支払いたいものです。
売主は売主側の不動産会社に、買主は買主側の不動産会社にそれぞれ支払います。金額は宅地建物取引業法で上限額が決まっています。
仲介手数料の上限額の計算式
仲介手数料(上限額)は以下のように決められています。
- 200万円以下の部分:売買価格の 5%+消費税
- 200万円超400万円以下の部分:売買価格の 4%+消費税
- 400万円超の部分:売買価格の 3%+消費税
400万円超の物件は、以下の速算式を用いるのが一般的です。
仲介手数料(税抜上限額) = 売買価格× 3% + 6万円
【計算例:5,000万円の物件の場合】
速算式による計算:5,000 万円× 3% + 6万円 = 150 万円 + 6万円 = 156万円
消費税(10%)を加算:156万円×10% = 15.6万円
最終的な上限額:156万円 + 15.6万円 = 171.6万円
最終的な上限額は 171万6,000円 となります。
6. 契約時に必要なお金と準備
契約日までに、以下の費用を準備する必要があります。
- 手付金:購入代金の1〜2割程度を、契約時に売主に現金で支払うのが一般的です。(申込金は手付金に充当されます。)
- 中間金:契約内容により、支払いが必要になることがあります。
- 印紙代(収入印紙代):売買契約書に貼る収入印紙代が必要です。(売買金額により変動します)
- 仲介手数料:一般的には、契約時に仲介手数料の50%、残りを決済時(引き渡し時)に支払います。
7. 重要事項の説明と契約の締結
売主・買主双方の不動産会社が間に入り、契約の日程調整が行われます。契約時の参加者は、売主・買主・双方の不動産会社です。
(1)重要事項の説明(重説)
契約の前に、宅地建物取引士から必ず重要事項の説明を受けます。
これは、物件に関する法的な制限、インフラ、契約の解除条件など、契約する上で極めて重要な事項について書面(重要事項説明書)を交付し説明することが義務づけられています。
(2)契約の締結
重要事項および契約書の内容を理解した上で、売買契約書に調印します。
(3)手付金の意味と契約解除の注意点
契約時に支払う手付金には、契約を解除するための費用としての重要な意味があります。
- 買主側(手付解除): 手付解除の期限内であれば、手付金を放棄することで契約を解除できます。(自己都合で解約する場合、手付金は戻ってきません。)
- 売主側(手付倍返し): 売主は、手付金の倍額(手付金+手付金と同額)を買主に支払うことで契約を解除できます。
(4)契約時に確認すべき特約(住宅ローン特約など)
住宅ローン特約(停止条件付契約)
これは、買主のための救済措置です。売主との交渉によりますが、契約に織り込んでもらいましょう。
「住宅ローンの審査に通らず、他の資金調達もできなかった場合、手付金を返してもらい契約を解除できる」という特約です。
【注意点】
- 解約できる期間が契約書で限定されているため、住宅ローンの申込みは遅滞なく行ってください。
- 特約の対象となる金融機関やローンの種類が限定されている場合もあります。
買い替え特約
自宅を売却して一戸建てを購入する場合、「自宅が売却できなかったら一戸建ての解約ができる」という特約です。売主にとってリスクが高いため、特約を付けてもらうことは難しい場合が多いです。自宅の買い替えを伴う場合は、より慎重で確実な資金計画が求められます。
8. 所有権の登記持ち分の決定
「夫婦の共有」にするのか「単独所有」にするのか、共有にする場合の持ち分の割合を契約後、決済までに決めておく必要があります。
【重要】資金拠出の割合で決めるのが鉄則
所有権の持ち分は、「誰が、いくらの資金を負担したか」という実際の資金拠出割合に合わせて登記するのが原則です。
- 例1: 夫が全額自己資金を出し、ローンも夫のみ …夫の単独所有
- 例2: 夫婦で自己資金とローンを負担 …資金を拠出した割合に応じて共有持ち分を決定
【贈与税に要注意!】
資金の負担割合と異なる持ち分で登記すると、その差額に対して贈与税が課税される可能性があります。親や祖父母からの資金援助(贈与)を受けた場合は、「住宅取得等資金の贈与の特例」を使う場合も含めて、資金の計算を厳密に行う必要があります。不安な場合は、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
9. 最終現地確認
決済の前に、物件の最終確認(内覧)をします。不動産会社担当者が同行してくれます。
- 隣地との境界線は明確か
- 建物の中に不具合がないか(特に、物件見学時には居住中で細部まで確認できなかった箇所)
10. 決済(引き渡し)
契約時に取り決めた決済日(あるいは互いに了承した日)に、売主・買主・双方の不動産会社、そして司法書士が一堂に集まり決済の手続きをします。
決済時には多くのことを一度に行います。
決済日に行うこと
①司法書士による書類確認:
売主側、買主側の必要書類(所有権移転登記、住宅ローン抵当権設定登記に必要な書類、印鑑証明書等)が揃っているか確認します。
②残代金の支払い:
買主は指定された銀行口座に残代金を振り込みます。
問題なく住宅ローンが実行されると確認されると、金融機関から資金が振り込まれます。
③抵当権の抹消と所有権移転登記手続き:
売主に借入金の残債がある場合、買主からの残代金で借入を返済し、金融機関から抵当権抹消の書類を司法書士が受け取ります。
司法書士は登記所に向かい、所有権移転登記(売主 買主)と買主の住宅ローンの抵当権設定登記を行います。
④諸費用の支払い
仲介手数料残金、登記費用、固定資産税精算金などの諸費用を支払います。
⑤鍵の引き渡し:
売主から買主に、鍵の引き渡しが行われます。
主な諸費用
- 登記費用: 登録免許税(税金)と司法書士への報酬の合計額です。
- 固定資産税の精算金: 固定資産税は1月1日の所有者(売主)に対して課税されます。そのため、決済日以降の買主の負担分を日割り計算で売主に支払います。
11. リフォーム等
リフォームは、工事に着手できるのは決済日(引き渡し日)に鍵の引き渡しを受けた後になりますので、引っ越しのスケジュールはその点も考慮して計画を立てましょう。
リフォームは複数の業者に見積もりを依頼することができます。
【我が家のリフォーム】
我が家は、この家を設計してくれた地元の工務店にリフォームを依頼しました。
入居後も修理修繕が必要なことは何でも気軽に相談できていて良い選択だったと思っています。
最後に
マイホームの購入は、複雑な手続きが伴います。物件選びから一連の手続きについて、不安がある方は、解消しておきましょう。
財産の管理、特に不動産に詳しい1級ファイナンシャルプランナーの私が、まずはお話を丁寧に伺います。

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